安心・安全
環境にやさしく、災害にも強い21世紀のエネルギー
私たちが暮らす日本は、その位置、地形、地質、気象などの自然的な条件から、地震、津波、火山噴火、土砂災害、台風、豪雨、豪雪、洪水などが発生しやすい環境にあります。世界中のわずか0.25%しか国土面積が無い日本において、マグニチュード6以上の地震の約20%が日本で発生しています。そのような「地震列島」とも呼ばれる日本においては、災害発生の際も安定的に使用可能なエネルギーを確保することが重要です。
LPガスは各戸ごとに個別に供給可能な「分散型エネルギー」ですので、万が一の災害発生時にガスの供給が遮断された場合も、個別に点検し問題が無ければ供給を再開出来、都市ガスや電気に比べて早く復旧することが可能です。
また、LPガスは各戸に容器が置かれており、いわば軒下に在庫がある状態ですので、万が一の災害時にも当面はガスをご使用になることが出来ます。そして、緊急時のエネルギー源として、避難所や仮設住宅にも迅速に供給することが可能です。
2011年3月11日に発生した東日本大震災は東北や関東などの東日本を中心に未曽有の被害をもたらしました。
東日本大震災の被災地では、水道、電気、都市ガス、石油製品などの供給再開に相当の日数を必要としましたが、LPガスだけは、わずか数日で供給の再開を実現。ボンベに蓄えられた「軒下在庫」があったため、震災発生後わずか4日目(3月15日)のLPガス事業者間の相互支援協定の発動、近隣設備の共同利用、石油では実現できなかった国家備蓄の放出(4月4日開始)などによって、LPガス供給の復旧は、他のライフラインに先んじて進行することが出来ました。その結果、避難所向けや病院向けだけでなく、仮設住宅へのエネルギー供給でも、LPガスは大きな貢献を果たしました。
2016年4月に発生した熊本地震では、熊本県内で大きな被害をもたらしました。
熊本県はLPガス消費世帯数50万7503世帯、都市ガス11万8704世帯でLPガスの普及率は約71%。
家屋倒壊が多くあったものの、発生直後から現地のガス販売店などが迅速に対応した結果、火災や爆発などの二次災害は発生していません。
1995年(平成7年)に発生した阪神淡路大震災及び2004年(平成16年)に発生した新潟県中越地震では、LPガスは、安全性のみならず、その復旧の早さと、緊急時対応エネルギーとしての有用性を実証しました。 長大な埋設導管を通じて供給される都市ガスに比べ、分散自立型供給であるLPガスは地震などの災害に極めて強く、阪神大震災でも大部分が数日以内で復旧しました。(都市ガスは約3ヶ月を要しました)また埋設導管からのガス漏れが火災などの二次災害を引き起こした都市ガスに対し、LPガスでは容器のバルブさえ閉めればガスが流れません。今後も大地震が危惧されるわが国において防災上最適なエネルギーといわれているのです。
ところで、阪神淡路大震災において、予想以上に被害を大きくした原因は火災でした。地震発生から10日間に神戸市内では175件の火災が発生しましたが、LPガスを原因とする火災はありませんでした。その理由として、LPガス容器の元栓を閉じれば、ほとんどの二次災害を防ぐことが可能であるという点が挙げられます。
阪神淡路大震災の貴重な経験を踏まえて言えることは、防災都市づくりに向けたエネルギー利用のあり方として、都市部におけるエネルギー供給は集中型の供給方式だけでなく、分散自立型の供給方式を併用しながら災害時のリスク分散を図る必要があるということです。そのために、復旧対策の拠点となる施設や避難民、傷病人などを収容する施設には、LPガスや石油による発電・調理・給湯・暖房ができる分散自立型のエネルギーシステムを導入し、平常時から稼動しておくことが重要です。
また、公共施設に限らず、一般住宅や商業用・業務用施設等へのエネルギー供給においても、集中型供給だけでなく、分散自立型供給をバランスよく配置することも必要であると思われます。
※家屋等に被害が発生した地域では、ガス漏れや容器の点検を順次行いますので、点検の際にはご協力をお願い申し上げます。