環境にやさしいLPガス
安心・安全
環境にやさしく、災害にも強い21世紀のエネルギー
容器の中に入っているLPガスは気体では無く、液体です。LPガスは石油ガスを液化したもので、 Liquefied(液化) Petroleum(石油) Gas(ガス)の頭文字をとった液化石油ガスの略称で、プロパン(C3H8)とブタン(C4H10)を主成分とする炭素と水素の化合物です。
- LPガスの種類
- 家庭で使われているLPガスの主成分は、プロパン(C3H8)がもっとも多くなっています。このためLPガスはプロパンガスとも呼ばれています。また、ガスライターの中に入っている液体はブタン(C4H10)と呼ばれる成分で、LPガスの一種です。このように、LPガスとして用いられているガスは、炭素(C)の原子数が4以下の炭化水素(CH)の混合物になっています。
- LPガスの重量
- 気体のLPガスは空気より重く、空気の1.5~2倍の重さになっています(100%プロパンの場合、15℃・1気圧で1.865kg/m3)。そのため、家庭などでLPガスが漏れた時は、床面をはうように広がり、低い場所にたまる性質があります。一方、都市ガスは空気より軽く、漏れた場合は天井の方へたまっていく性質があります。
- LPガスの性質
- LPガスは圧力を加えたり冷却することによって、簡単に液体になる性質があります。液体になると、体積は気体の時の約250分の1になります。輸入したり、ご家庭にお届けしたりする時には液体にして効率よく運んでいます。
冷却して液化する温度はプロパンで-42℃、ブタンで-0.5℃です。一方、メタン(CH4)を主成分とする天然ガスを液化したものをLNG(Liquefied Natural Gas)と言いますが、LNGは-162℃に冷却しないと液化しません。また、常温(20℃)状態においてプロパンは約0.8MPa、ブタンは約0.2MPaで加圧すれば容易に液化しますが、LNGの場合は-82.6℃より高い温度では、いくら圧力を加えても液化しません。
- LPガスのにおい
- LPガスは本来においがありません。しかし、ガスが漏れた時にすぐに気づくように、ガス特有のにおいをつけています。このにおいの成分は、ガスが燃焼すると無臭になるので、LPガスが正しく使われている限りは臭うことはありません。
(LPガス容器内のLPガスの残量が減ってきますと、におい成分だけが残りガス臭くなる場合があります。)
- LPガスの発熱量
- 気体のプロパン1m3を燃やすと99MJ(24,000Kcal)、ブタン1m3は128MJ(31,000Kcal)の熱量を発生します。また、重量1kg当たりではプロパン、ブタンともに50MJ(12,000Kcal)の発熱量があります。 これに対して都市ガスは46MJ(11,000Kcal)になるため、プロパンガスは都市ガスより約2.2倍の熱量があります。
- LPガスの燃焼範囲
- プロパンが空気と混ざり、空気中の濃度が2.1%~9.5%(ブタンは1.8%~8.4%)の範囲で燃えます。
LPガスの良いところ
クリーンエネルギーとしてLPガスのすぐれている点は、次の通りです。
- 燃焼による排ガス中のCO2量は、石油や石炭に比べて非常に少ない
- LPガスには硫黄分の含有量がほとんどなく、窒素も含まれていない
- ススや灰分を出さない
- オゾン層破壊の心配がない
またLPガスは、体積あたりの総発熱量が天然ガスに比べるとプロパンは約2.5倍、ブタンは約3.3倍と非常に高く、環境によいことと併せハイパワーで高品質なガス体エネルギーなのです。
身近なクリーンエネルギー
化石エネルギーによる環境汚染には、地球環境全体に影響を及ぼす環境汚染物質があることが分かっています。
その地球環境問題の主だったものは、次の通りです。
- 二酸化炭素(CO2)やメタンガス(天然ガスの主成分)による地球温暖化
- フロンガス等によるオゾン層破壊で紫外線が増加することによる皮膚ガンの誘発等
- 煤煙などの浮遊性粒子状物質(SPM:Suspended Particle Matter)等による呼吸器系の疾病
- 亜硫酸ガス(SO2)等が作る酸性雨による森林の破壊や湖水内動植物の死滅
- 窒素酸化物(NOx)や炭化水素(HC)を起因とする光化学スモッグ(オゾン・過酸化物質)による目や喉等の痛み
これらの地球環境問題は、世界全体で早急に解決しなければならない課題として、取組みが始まろうとしています。 地球環境問題への対応は、エネルギーに含まれる有害物の事前除去、改質及び回収、並びに省エネを行うことなどの対策とともに、利用に応じてエネルギーを選択することも重要です。
LPガスは、次の特性から分かるように、地球環境問題を早期に解決・緩和できると期待されているエネルギーであり、日本に暮らす人々の最も身近にあるエネルギーと言えます。
- LPガスは、PM(粒子状物質)の排出がない等、環境負荷が相対的に小さく、天然ガスとともにクリーンなガス体エネルギーである(2003年10月7日付け閣議決定された「エネルギー基本計画」より)と位置付けられています。
- LPガスは、利用する時はガスとして使うエネルギーですが、LNGと比べても相当低い圧力で液化するという性質から小型の容器に詰めて利用できるので、都市ガスのように気体でしか利用できないがゆえの大規模な導管網を必要とせず、日本全国どこでも利用できるという特長があります(都市ガスが利用できるのは都市ガス導管がある国土面積の5.5%です)。
- 大規模な導管網を必要としないということは、配管が短く、点検、メンテナンスが容易なため、災害時の復旧が早いということにもつながります。
- LPガスは導管による利用もでき、全国約191万戸で利用されています。また一部、都市ガスの原料としても利用されています。
*都市ガスとは…天然ガス、LPガス、あるいは石炭、石油などから作られるガスを所定の発熱量に調整したものです。
燃料・エネルギーの温室効果ガス排出原単位調査 (LCA※ベース)LNGを100とした場合の温室効果ガス排出原単位は、以下のグラフのようになり、
LNGと同様に環境にやさしいエネルギーということがわかります。